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第26回夏パラバレーボール選手権大会

夏の恒例大会で、20チームが白熱の攻防

 7月18日と19日の2日間の日程で、「第26回夏パラバレーボール選手権大会」が東京・台東区の台東リバーサイドスポーツセンターで開催された。この大会は座ってプレーする座位バレーボールのクラブチームを対象とした大会で、今年は全国から男子12、女子8のクラブチームが参加し、男女別に予選ラウンド、決勝トーナメント方式で熱戦が繰り広げられた。

 決勝戦は19日に行われ、男子決勝は予選ラウンド戦でフルセットまでもつれた千葉パイレーツと埼玉レッドビーズ坊主との再戦となった。日本代表としても活躍する田澤隼(たざわじゅん)選手や皆川鉄雄(みなかわてつお)選手を擁する千葉パイレーツが第1セットを25-22で奪って波に乗ると、第2セットは25-14で圧倒。セットカウント2-0で大会9連覇を果たした。
 女子決勝の顔合わせも予選でフルセットの接戦を演じた2チームの顔合わせとなった。予選で競り勝った東京プラネッツ女組が千葉レディースパイレーツにセットカウント2-0(25-21、25-17)のストレートで快勝し、2年ぶりに大会を制した。両チャンピオンとも予選から決勝まで5連勝で頂点に立った。

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座位バレーボールとは

 座位バレーボールとは座ったまま行う6人制のバレーボールで、プレー中は床に臀部の一部を常に接触させていなければならない。コートは一般のバレーボールより狭く、ネットも低い。その分、ボールの展開が速く、スピード感やチームワークが魅力だ。名称は長年、英語由来のシッティングバレーボールが使われていたが、バレーボール(座位)を経て、2024年10月に座位バレーボールに変更されている。


 座位バレーボールはパラリンピックの正式競技の一つで、パラリンピックでは下肢に障害のある選手を対象とする。だが、この夏パラバレーボール選手権大会(以下、夏パラ大会)は障害の有無に関わらず誰でも参加でき、障害者のみ、障害者と健常者混合、健常者のみと幅広いチーム編成が可能だ。参加しやすいレギュレーションでもあり、夏の恒例大会として定着している。

座位バレーボールの詳細については日本パラバレーボール協会(外部サイト移動します)



全国から20チームが集い、台東リバーサイドスポーツセンターで熱戦が展開された

海外遠征帰りの日本代表選手も

 今年の夏パラ大会女子の部を制した東京プラネッツ女組のキャプテン、波田みか(はたみか)選手は、「去年は準優勝だったので、よかったです」と安堵の表情を見せた。波田選手は今大会直前(7月10日~17日)に中国・杭州で開催されていた世界選手権(*)にも女子日本代表チームの一員として出場しており、7月18日に帰国したばかりだったが、過密日程で疲労感もあるなか参加し、チームの勝利に貢献した。(*日本代表は男子が16位、女子は世界選手権で初の8位入賞を果たした)


世界選手権でも活躍をみせた波田みか選手

 「今日は試合に出られるか分かりませんでしたが、仲間が頑張っているので、『とりあえず応援しよう』『みんなと共に戦おう』という気持ちで会場に来ました。東京で開催される大会でもあるし、健常者と障害者が一緒になって、障害の壁を越えてみんなでプレーできます。すごくいい大会だなと思っています」

 波田選手だけでなく、多数の男女日本代表選手が参加し、今年の大会を盛り上げていた。


男子チーム優勝の千葉パイレーツ

女子チーム優勝の東京プラネッツ女組

障害の有無を超え、競技の普及に貢献

 今年26回目となる夏パラ大会だが、前身は1998年に第1回大会が開催され、以後2017年の20回大会まで長野県白馬市で実施されていた「シッティングバレーボール全国親善交流大会in白馬」(以下、白馬大会)だ。2018年から会場が東京・台東区に移り、名称も現在のものに変わった。

 だが、当初から変わらないのは、「誰でも参加できること」だ。主催する日本パラバレーボール協会の山下慎(やましたしん)代表理事は、「現在、協会では日本最高峰の日本選手権など4大会を主催していますが、健常者のみのチームが参加できるのは夏パラ大会だけです。順位付けはしますが、『親善交流』も大きな目的であり、健常者も参加することで座位バレーボールを広め、選手発掘やレベルアップにつなげたいという思いもある重要な大会です」と説明する。

 なお、日本で座位バレーボールがプレーされるようになったのは1992年頃からだ。1994年に中国・北京市で開催される極東・南太平洋身体障害者スポーツ大会(フェスピック大会/現アジアパラ競技大会)に日本として初めて代表チームを派遣することになり、急遽、東京と広島で活動が始められた。

 山下代表理事によれば、当初はパラ水泳やパラ陸上競技などから集まった選手を中心にチームが編成されたが選手数はぎりぎりで、バレーボール経験者も少なかった。そのため、健常者たちのサポートも得て、強化を進めてきた歴史がある。

 「健常の参加者は年々増え、夏パラ大会にはスポンサー企業や大学生チームなどの参加実績もあります。健常者の参加によって選手強化だけでなく、スタッフやボランティアなども広がりました。さまざまな『つながり』ができたことも大きいです」と山下代表理事はプラス面を話す。


日本パラバレーボール協会の山下慎代表理事

 そんな一人が鈴木秀昭(すずきひであき)さんだ。健常者として座位バレーボールに20年以上も関わっており、今大会でも台東スマイルの一員として、男子ベスト4入りに貢献した。座位バレーボールとの出会いは、バレーボールサークルに入っていた大学時代の愛読誌『月刊バレーボール』に掲載された1997年開催の第1回日本シッティングバレーボール選手権大会の記事だったという。

 「それまで見たことがないバレーボールでしたが、『座ってしまえば、健常者でもできる』と紹介されていて、面白そうだなと思いました」

 中学・高校時代にバレーボール部だったこともあり、すぐに記事内で紹介されていた練習会場を訪問。見学だけのつもりだったが、「一緒にやろう」と誘われた。最初は「座って動く」という非日常の動作に苦労したが、1999年には第2回白馬大会に初出場するほど夢中になり、今につながっている。

 「ボールを床に落とさないように、チームみんなでつなぐという面白さはバレーボールと同じです。座位バレーボールはさらに、仲間それぞれの障害の状態を知ることでお互いにフォローし合い、分け隔てなくプレーできるところも魅力ですね」と、鈴木さんは穏やかな笑みを浮かべた。


健常者選手として活躍する鈴木秀昭さん

「代表選手を助けたい!」から生まれたチームも

 山下代表理事によれば、近年は大学生など若い人主体のチームも増えているという。例えば、静岡県浜松市にある聖隷クリストファー大学のサークルとして2021年4月に誕生した「パラだに浜松」もその一つだ。今年の夏パラ大会では男子はベスト8入り、女子は健常者のみのチームで参加し、予選で1勝を挙げた。

 結成のきっかけはコロナ禍中に、浜松市出身の同窓生で現役の座位バレーボール選手、中野琢也(なかのたくや)選手と出会ったことだ。中野選手は当時、東京2020パラリンピックの日本代表に選出されたが、コロナ禍で練習もままならず困っていた。そこで学生数名が練習パートナーを務めるようになり、サークル設立へとつながった。

 中野選手は、「1人で練習していたところから、相手ができて、試合までできるようになった。すごく感謝しています」とうなずく。最初は自身を含めメンバーは4、5人で、「バレーボール未経験者もいて、僕が教えることも多かった」が、男女各10人くらいにまで増えた今は、「一緒に、しっかり練習できます」と白い歯をこぼした。

 チーム名の「パラだに浜松」はパラスポーツの「パラ」に、「~だよ」といった意味を持つ、静岡県西部地方で話されていた、遠州(えんしゅう)弁の「だに」に由来する。「浜松」を入れたのは、「浜松市にチームがあること」をアピールし、近隣地域への普及も願ってのことだ。

 今年のチームには、「卒業後も活動を続けたい」というメンバーもいて、障害のあるメンバーも3名に増えた。うち一人は中学生だ。39歳の中野選手は、「こんな風に発展するとは思いませんでした。人の縁に恵まれているなとつくづく思います。年齢を超えて一緒にプレーできるのは楽しいですし、学生が地元に戻っても活動が続けられるような環境がもっと広がっていけば」と、さらなる発展を願う。


パラだに浜松の男女両チームが集合。中央に中野琢也選手

 なお、今年は10月18日~24日に開催される愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会で座位バレーボール男女日本代表がそれぞれアジア王者を目指す。また、12月5日~6日には「日本選手権大会(愛知県岡崎市)が行われ、男女のクラブチーム日本一が決まる予定だ。

(取材・文/星野恭子、撮影/有限会社エックスワン)