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城東ウォーリアーズ

2025/12/18 掲載

 城東ウォーリアーズは、誰もが自分らしく挑戦できる“スポーツと文化の場”を目指し、2020年11月1日に設立。東京都江東区を中心に活動する総合型地域スポーツクラブとして活動しています。年齢、性別、国籍、障害の有無にかかわらず、パドルテニスやボッチャなどのスポーツ活動と、ドローンやプログラミングなどの文化活動を通して、人と人をつなぐコミュニティの場となっています。

お問い合わせ

JOTO WARRIORS Inquiry Form 問合せフォーム
TEL:03-5875-9610
FAX:03-5875-9672
一般社団法人JOTO WARRIORS

クラブ紹介

活動場所
江東区内の小・中・高等学校、テニスコート、スポーツセンター
活動日時

平日夕方や土日祝日

登録者数

300名超

会費の有無

一部会費制(※詳細はお問い合わせください)

活動紹介

 城東ウォーリアーズの発起人の一人で、一般社団法人JOTO WARRIORSの代表理事は、自身の経験のなかで「人は環境によって笑顔にも孤立にもなる」と感じていたという。そして、人の縁は一生の中でつながったり離れたりしながら、何かをきっかけに再び深い関係性が構築されるものだということも感じ、「人と人との結びつきをつなぎ直し、みんなで楽しんで笑顔になれる場を作りたい」と考えた。


 そこで同じ思いを持つ知人2人と一緒に、2020年秋に始動。はじめはサークル活動として考えていたが、メンバーを募集すると想定以上の反響があったため、同年11月には総合型地域スポーツクラブ「城東ウォーリアーズ」を発足し、活動がスタートした。5年目となった現在は延べ300人以上の会員が、平日の夕方や土日祝日に江東区内の学校、テニスコート、体育館などのスポーツ施設で活動を行っている。

開始前には全員で準備を行い、ケガ防止のため入念に準備体操を実施

 城東ウォーリアーズの特徴は、どんな人も受け入れる体制が整っていること。障害の有無に関係なく、一緒にスポーツや文化活動を楽しむ光景は、まさに日本社会が目指すダイバーシティ&インクルージョンを体現した姿でもある。パニック障害とASDの障害がある30代女性は、以前は人とかかわることが苦手で「自分には居場所がない」と感じてきたという。しかし、もともと運動が好きで、“誰もが笑顔で参加できる”という言葉にひかれて見学に訪れた城東ウォーリアーズで、「長い間閉じていた心の扉をそっと開けてもらった」と語る。今ではパドルテニスに夢中で少しずつ上達していく喜びがある。そして「誰かと一緒に笑い合える自分になれたこと」に何より嬉しさを感じていると話す。


 参加者側だけでなく、運営側にも障害のある方が関わっていることも城東ウォーリアーズの特徴の一つだ。それは、障害のある参加者が安心して参加する場を提供し、また障害の有無に関わらず“支える側”にもなれるという勇気をもたらしている。


 その一人が、膠原病と脳梗塞による後遺症を抱える梶山英樹(かじやまえいき)さんだ。パドルテニス部門の発起人として立ち上げから携わり、現在は顧問兼コーチを務めている。15年以上、パドルテニスの普及活動とジュニア育成に携わってきた梶山さんの存在は、障害当事者の会員たちにとっても大きい。そして梶山さん自身、「誰かを支える側に立っていることに感謝と、喜び、楽しさを感じている」と語る。


 長年にわたって尽力してきたパドルテニスの活動を通して、「勝敗だけでなく、人を思いやる心を育み、共に成長しあう喜びを感じることがスポーツの価値」という考えに至ったという梶山さん。「人を笑顔でつなぐ」ことを理念とする城東ウォーリアーズの魅力についてこう語る。


 「城東ウォーリアーズは障害の有無や年齢、運動能力の違いに関係なく、みんなで笑い合い、励まし合いながらスポーツを楽しむ場。だからここには想いでつながっている仲間がたくさんいて、子どもたちに思いやりとやさしさを育む環境がある。それが最大の魅力だと感じています」


 そんな梶山さんについて「障害当事者にしか気づかないこともあるので運営側にとってありがたいですし、会員にとっても安心することができる。また障害のある会員の相談ごとにも対応してもらえる」と代表理事は話す。さらに弁護士などの士業の方や、医師などの医療従事者、企業のオーナーなど多様な人材が所属しているからこそ、会員のさまざまな困りごとの解決の糸口を見いだせるコミュニティとしても機能している。それが城東ウォーリアーズの強みだ。

各種目の器具は貸し出しがあるので、誰でも気軽に参加できる

 看護師の資格を持ち、救護班として活動を支えている吉野節子(よしのせつこ)さんも、その一人だ。もともと総合型地域スポーツ文化クラブ「新宿チャレンジスポーツ文化クラブ(新宿チャレスポ)」で3人の子どもが梶山さんにパドルテニスを習っていたという吉野さん。その梶山さんらが新たに立ち上げた城東ウォーリアーズで救護スタッフが必要とされていることを聞き、「子どもたちがお世話になった恩返しとして、何か役に立つことができれば」と引き受けた。


 それがきっかけで城東ウォーリアーズの活動に参加するようになったのが、高校3年生の三男・渚音(しょーん)さんだ。小学1年から始めたパドルテニスの競技歴は12年になる渚音さんも、みんなで楽しむ城東ウォーリアーズの雰囲気に居心地の良さを感じている様子に、母親の節子さんも目をほそめる。


 「実は子どものころは“お宅の息子さん、暴れすぎてどうにもなりません”と言われたこともあったんです。そんな渚音が、今では参加者の皆さんから“お兄ちゃん、教えて”と頼ってもらえるようになりました。私も喜びを感じていますし、渚音もここに来るとお兄ちゃんになれるという感覚があるようです。城東ウォーリアーズは大きな家族のような存在ですね」


 また、年齢制限も設けられていないため親子で参加する会員も多く、渡辺謙一郎(わたなべけんいちろう)さんは小学生の2人の子どもと参加している。江東区のイベントでボッチャの体験会に参加した際に城東ウォーリアーズを知り、1年以上前から週末にはよく親子でパドルテニスやボッチャを楽しむようになった。


 「城東ウォーリアーズには、本当に幅広い世代の方がいらっしゃるし、障害のある方と一緒にプレーするので、子どもは自然といろいろなことを吸収しているのかなと思います。親子で楽しく体を動かせるというだけでなく、子どもの情緒教育という観点からもいい環境だと感じています」

吉野節子さん(左)と渚音さん(右)親子
笑顔でパドルテニスを楽しむ渡辺さん(右)

 こんなふうにさまざまな人たちが所属し、それぞれに合った関わり方ができる自由がある城東ウォーリアーズには、どんな人も安心して参加し、一緒に楽しむことができる環境がある。「希望の方はいつからでも参加できますし、やめる自由もある。そしてまた参加したいと思ったら、いつでも戻ってきてください。城東ウォーリアーズは、そんなふうに人と人との物語が交錯する場。誰かと一緒に笑うことの楽しさを感じながら、ぜひあなた自身の物語を私たちと一緒に育てていきましょう」と代表理事。興味を持った方は、ぜひお気軽にお問い合わせを。

およそ30人の参加者がパドルテニスやボッチャを思い思いに楽しんだ

(取材・文/斎藤寿子、撮影/有限会社エックスワン)