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各種競技

こみゅと小平

2025/10/31 掲載

 一般社団法人こみゅと小平は、さまざまな人々とのつながりやコミュニケーションを大事にして、すべての人がよりよく生きられる社会を目指した活動を行っている団体です。障害のある方たちのスポーツ、就労支援、生活支援の3つの事業を行っており、スポーツ(こみゅスポ事業)では主に小平特別支援学校でのレクリエーション教室の開催など、地域と連携してスポーツ活動の機会を提供しています。

お問い合わせ

cmu.to.kodaira@gmail.com
一般社団法人こみゅと小平

クラブ紹介

活動場所
小平特別支援学校
登録者数

9名

会費の有無

活動紹介

 こみゅと小平は、2016年度から小平特別支援学校で行われていた「都立特別支援学校活用促進モデル事業・スポーツ体験教室」を引き継ぐ形で、運営に協力する団体として2019年に設立された。車いすなど制限がある中でも工夫さえすれば、楽しく体を動かすことができるということを理念に掲げ、障害の有無に関わらず、大人も子どももみんなで楽しく体を動かす「スポーツ・レクリエーション教室」を開催してきた。


 プログラムを考えるうえで最も大事にしてきたのは“全員が一緒に楽しむこと”。こみゅと小平の上野(うえの)あかね理事長は「“できる・できない”ではなく“どうすればみんなで一緒に楽しむことができるか”を大事にしています。ルールはあってないようなものとして、参加者にあわせてみんなで一緒に考え、環境を整える。みんなで楽しめる場になるように工夫を凝らしてきました」と話す。

こみゅと小平の上野あかね理事長

 9月21日に行われた教室では、こみゅと小平がこみゅスポ研究所と協働で作り上げ、NHK Eテレでも紹介された「バリバラ体操」で体をほぐした後、4チームに分かれて得点を競い合う対抗戦がスタート。こみゅと小平発案の「紙コップ飛ばし」「アレンジボッチャ」「ボール運びリレー」が行われた。

4チームに分かれて思いっきり体を動かした

 「紙コップ飛ばし」は細長い筒の先端にかぶせた紙コップを、もう一方の先端に付けたビニール袋を勢いよく手で叩くようにして空気を押し出して飛ばす競技。どのチームもどうすればうまく空気を入れられるかなど工夫し合う様子が見られた。「アレンジボッチャ」は、円の中心から3、2、1と数字が書かれた的をめがけて1人2個のマイボールを投げ込み、その合計得点を競う。ボランティアの手厚いサポートのもと「ランプ」を使ってボールを転がしたり、自分の手で勢いよく投げ入れたりと、好きな方法とタイミングで楽しんだ。

紙コップ飛ばし(左)やアレンジボッチャ(右)に熱中する参加者

 最後の「ボール運びリレー」では、走り終えたら次の走者にボールを渡し、チームで速さを競い合った。ボールを膝の上に置きながら自分で車いすを漕いだり、腕を組んで一緒に並走するなどボランティアと息のあったコンビネーションを見せた参加者も。さらに障害がない人たちは、スキップをしたり、あごの下でボールを運ぶなど、アイディアに溢れたリレーに声援や拍手がわき、どのチームからも一体感が生まれていた様子に、「まさに楽しむことを語源とするスポーツの光景があった」と上野理事長は語る。


 「ボール運びリレーは私たちにとっても挑戦で、さまざまな人たちが混在する中で、どうすれば全員が一体感を得られて楽しむことができるかということをすごく考えました。そうしたところ、参加者もボランティアもそれぞれのアイディアで楽しんでいらっしゃった。こちらが悩ましいと思っていたことを皆さんが解決してくれることも多く、私たちにとっても大きなヒントになっています」

それぞれが工夫して取り組んだボール運びリレー

 小平特別支援学校出身の小田島勇太(おだじまゆうた)さん(27)は、「以前に教室に参加した際、ボランティアの方にとても良くしてもらったので、今度は自分がサポートしたいと思った」と、ボランティアとして参加。「どの競技も参加者の方たちが喜んでいる姿をみて、とても嬉しい気持ちになりました。楽しいことが大好きな人には、ぜひ参加してもらいたいイベントです」と語る。

参加者の笑顔にボランティアとして喜びを感じた小田島さん

 心疾患と小児脳梗塞の影響でてんかんなどの障害がある小澤右京(おざわうきょう)さんは、体を動かすことが大好きな中学3年生。通っている学校に貼り出されていたチラシを母親の小澤奈保子(おざわなおこ)さんが見つけて教室のことを知り、参加するようになった。奈保子さんは「教室に参加するようになってから、右京がアクロバットなことが好きだということを知ることができました。ボッチャでは、参加するたびにボールがうまく投げられるようになっていて、3回目の今日は自分から投げていてとても楽しそうでした」と笑顔で語ってくれた。

小澤右京さんは回を重ねるごとにできることが増えている

 高校1年生の空岡知優(そらおかちひろ)さんは、小平こみゅとの教室に参加して2年以上になる。今ではSNSなどで開催の知らせを見つけると、すぐに申し込むほど、親子揃って楽しみにしているイベントだ。母親の和代(かずよ)さんは「知優は重度の心身障害があり、体を動かすことが苦手です。知的障害もあるので、いわゆる投げる・走るといったことができません。でも、この教室は本人も“自分にやれることがある”と思って来ることができる場です。今では“これからこういうことをやるんだな”と自分で気づいて、スッと手が出るようにもなりました」と話してくれた。

ボラティアの方との触れ合いも楽しみにしている空岡知優さん

 奈保子さんも和代さんも、こみゅと小平のイベントの魅力は「安心・安全に参加でき、さまざまな方と広く交流することができること」と語る。「この教室には違う学校の子どもたちが参加するので、私たち親子の視野を広げてくれる場になっています。また会場が特別支援学校なので、トイレのことなどあれこれ考えて準備しなくても安心して行くことができます」と奈保子さん。和代さんも「ボランティアさんがたくさんいらしてくださっているので、安心してお任せすることができます。子どもも最初は緊張もするのですが、そのこと自体とても貴重な体験ですし、いつもボランティアさんとの交流を楽しみにしているんです」

優勝チームを全員で祝った

 バリアフリーのトイレなども完備された特別支援学校の広い体育館を活用し、すべての人が安全・安心に楽しく体を動かすことができる「スポーツ・レクリエーション教室」。重度の障害児者にも気軽に参加することのできる環境が整えられている。


 そのほか、こみゅと小平では指導支援団体として東京都の「障害児者の運動習慣定着支援事業」、また地域スポーツクラブとして小平市の「自発的活動支援事業」を実施。生活介護事業所などの事業所や施設を訪問し、運動プログラムを実施するといった活動も行っている。ご興味のある方は、こみゅと小平にお問い合わせを。

(取材・文/斎藤寿子、撮影/伊藤真吾(エックスワン))